[ 0008 ] [杭工法]
杭工法概説
当社が取り扱う杭工法について、本ページで杭工法全般について概説するとともに、以降のページでは、それぞれの杭工法について個別に紹介させていただきます。
杭工法の分類としては、支持機構によるもの、材質によるもの、工法によるもの、形状によるもの、利用目的によるものが考えられますが、設計上最もよく使われる分類が工法上の分類と材質上の分類を組み合わせたものです。
杭の工法上の分類は、現地における杭本体の築造方法だけでなく、設計上の基本となる鉛直支持力の分類により行われています。
杭の鉛直支持力は、既往の研究から、地盤条件だけでなく、施工方法によってもかなり異なることが明らかになっているからです。
そこで、日本における橋や高架の道路等に関する技術基準を定めた、社団法人日本道路協会発行の「道路橋示方書・同解説」の「W 下部構造編」(一般的に「道示W」と呼ばれる)では、数多くの杭工法の中から適用できる工法として、
● 打撃工法
● バイブロハンマ工法
● 中堀り杭工法
● プレボーリング杭工法
● 鋼管ソイルセメント杭工法
● 場所打ち杭工法
が選定されています。
その選定理由は、これらの工法が十分な実績、鉛直・水平載荷試験データを有し、その支持力特性が明らかであり、施工管理手法が確立されている等の条件を満たしているからです。
「道示W」で規定されている杭工法の位置付けを含め、一般的に行われている工法上の分類と杭の材質と形状による分類の組み合わせをまとめると下図のようになります。
なお、回転杭工法は、先端に羽根を取り付けた鋼管杭を回転させながら所定の深さまで貫入する方法で、支持力特性が多くの鉛直・水平載荷試験から明らかになり、近年実績が増えてきました。
「道示W」には記載されていませんが、社団法人日本道路協会発行「杭基礎設計便覧 平成18年度改訂版」から掲載されるようになったことから、本図に記載しています。
杭の工法分類
※ 杭工法の上部に[ ]で示した数字は、当該杭工法を紹介している本ホームページのページ番号を表しています。
上記杭工法の選定表を、社団法人日本道路協会発行「杭基礎設計便覧 平成18年度改訂版」を参考に取りまとめたものを以下に示します。
◎杭工法の選択表(1) |
選定条件 / 工法 | 既製杭工法 | ||||||||||
打込み杭工法 | |||||||||||
PC杭 | PHC杭・SC杭 | 鋼管杭 | |||||||||
打撃工法 | バイブロハンマ工法 | ||||||||||
地盤条件 | 支持層までの状態 | 中間層に極軟弱層がある | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
中間層に極めて硬い層がある | × | △ | △ | △ | |||||||
中間層にレキがある | レキ径 50mm以下 | △ | △ | ○ | ○ | ||||||
レキ径 50〜100mm | × | △ | △ | ○ | |||||||
レキ径 100〜500mm | × | × | × | × | |||||||
液状化する地盤がある | △ | ○ | ○ | ○ | |||||||
支持層の状態 | 支持層の深度 | 5m未満 | × | × | × | × | |||||
5〜15m | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
15〜25m | △ | ○ | ○ | ○ | |||||||
25〜40m | × | ○ | ○ | ○ | |||||||
40〜60m | × | △ | ○ | ○ | |||||||
60m以上 | × | × | △ | △ | |||||||
支持層の土質 | 粘性土(20≦N) | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
砂・砂れき(30≦N) | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
傾斜が大きい(30度程度以上) | × | △ | ○ | ○ | |||||||
支持層面の凹凸が激しい | △ | △ | ○ | ○ | |||||||
地下水の状態 | 地下水位が地表面に近い | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
湧水量が極めて多い | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
地表より2m以上の被圧地下水 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
地下水流速3m/min以上 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
構造物の特性 | 荷重規模 | 鉛直荷重が少ない(支間20m以下) | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
鉛直荷重が普通(支間20〜50m) | △ | ○ | ○ | ○ | |||||||
鉛直荷重が大きい(支間50m以上) | × | △ | ○ | ○ | |||||||
鉛直荷重に比べて水平荷重が小さい | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
鉛直荷重に比べて水平荷重が大きい | × | ○ | ○ | ○ | |||||||
支持形式 | 支持杭 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
摩擦杭 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
施工条件 | 水上施工 | 水深5m未満 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
水深5m以上 | △ | △ | ○ | ○ | |||||||
作業空間が狭い | △ | △ | △ | △ | |||||||
斜杭の施工 | △ | ○ | ○ | ○ | |||||||
有毒ガスの影響 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
周辺環境 | 振動・騒音対策 | × | × | × | △ | ||||||
隣接構造物に対する影響 | × | × | △ | △ |
○ : 適合性が高い △ : 適合性がある × : 適合性が低い | |
※参考文献 : 社団法人日本道路協会発行「杭基礎設計便覧 平成18年度改訂版」 |
◎杭工法の選択表(2) |
選定条件 / 工法 | 既製杭工法 | ||||||||||
中堀り杭工法 | |||||||||||
PHC杭・SC杭 | 鋼管杭 | ||||||||||
最終打撃工法 | 噴出攪拌工法 | コンクリート打設工法 | 最終打撃工法 | 噴出攪拌工法 | コンクリート打設工法 | ||||||
地盤条件 | 支持層までの状態 | 中間層に極軟弱層がある | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
中間層に極めて硬い層がある | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
中間層にレキがある | レキ径 50mm以下 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
レキ径 50〜100mm | △ | △ | △ | △ | △ | △ | |||||
レキ径 100〜500mm | × | × | × | × | × | × | |||||
液状化する地盤がある | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
支持層の状態 | 支持層の深度 | 5m未満 | × | × | × | × | × | × | |||
5〜15m | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
15〜25m | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
25〜40m | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
40〜60m | △ | △ | △ | ○ | ○ | ○ | |||||
60m以上 | × | × | × | × | × | × | |||||
支持層の土質 | 粘性土(20≦N) | ○ | × | △ | ○ | × | △ | ||||
砂・砂れき(30≦N) | ○ | ○ | × | ○ | ○ | × | |||||
傾斜が大きい(30度程度以上) | △ | △ | △ | ○ | ○ | ○ | |||||
支持層面の凹凸が激しい | △ | △ | △ | ○ | △ | △ | |||||
地下水の状態 | 地下水位が地表面に近い | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
湧水量が極めて多い | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
地表より2m以上の被圧地下水 | × | × | × | × | × | × | |||||
地下水流速3m/min以上 | ○ | × | × | ○ | × | × | |||||
構造物の特性 | 荷重規模 | 鉛直荷重が少ない(支間20m以下) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
鉛直荷重が普通(支間20〜50m) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
鉛直荷重が大きい(支間50m以上) | △ | △ | △ | ○ | ○ | ○ | |||||
鉛直荷重に比べて水平荷重が小さい | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
鉛直荷重に比べて水平荷重が大きい | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
支持形式 | 支持杭 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
摩擦杭 | − | − | − | − | − | − | |||||
施工条件 | 水上施工 | 水深5m未満 | △ | △ | △ | △ | △ | △ | |||
水深5m以上 | △ | △ | △ | △ | △ | △ | |||||
作業空間が狭い | △ | △ | △ | △ | △ | △ | |||||
斜杭の施工 | × | × | × | △ | △ | △ | |||||
有毒ガスの影響 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
周辺環境 | 振動・騒音対策 | △ | ○ | ○ | △ | ○ | ○ | ||||
隣接構造物に対する影響 | △ | ○ | ○ | △ | ○ | ○ |
○ : 適合性が高い △ : 適合性がある × : 適合性が低い | |
※参考文献 : 社団法人日本道路協会発行「杭基礎設計便覧 平成18年度改訂版」 |
◎杭工法の選択表(3) |
選定条件 / 工法 | 既製杭工法 | 場所打ち杭工法 | |||||||||
プレボーリング杭工法 | 鋼管ソイルセメント杭工法 | オールケーシング工法 | リバース工法 | アースドリル工法 | 深礎工法 | ||||||
地盤条件 | 支持層までの状態 | 中間層に極軟弱層がある | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × | |||
中間層に極めて硬い層がある | ○ | ○ | △ | ○ | △ | ○ | |||||
中間層にレキがある | レキ径 50mm以下 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
レキ径 50〜100mm | ○ | ○ | ○ | ○ | △ | ○ | |||||
レキ径 100〜500mm | × | × | △ | × | × | ○ | |||||
液状化する地盤がある | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
支持層の状態 | 支持層の深度 | 5m未満 | × | × | × | × | × | ○ | |||
5〜15m | ○ | ○ | ○ | △ | ○ | ○ | |||||
15〜25m | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
25〜40m | ○ | ○ | ○ | ○ | △ | △ | |||||
40〜60m | ○ | ○ | △ | ○ | × | × | |||||
60m以上 | △ | △ | × | △ | × | × | |||||
支持層の土質 | 粘性土(20≦N) | × | △ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
砂・砂れき(30≦N) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
傾斜が大きい(30度程度以上) | △ | △ | ○ | △ | △ | ○ | |||||
支持層面の凹凸が激しい | △ | △ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
地下水の状態 | 地下水位が地表面に近い | ○ | ○ | ○ | ○ | △ | △ | ||||
湧水量が極めて多い | △ | ○ | ○ | ○ | △ | × | |||||
地表より2m以上の被圧地下水 | × | ○ | × | × | × | × | |||||
地下水流速3m/min以上 | × | × | × | × | × | × | |||||
構造物の特性 | 荷重規模 | 鉛直荷重が少ない(支間20m以下) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
鉛直荷重が普通(支間20〜50m) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
鉛直荷重が大きい(支間50m以上) | △ | ○ | ○ | ○ | △ | ○ | |||||
鉛直荷重に比べて水平荷重が小さい | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
鉛直荷重に比べて水平荷重が大きい | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
支持形式 | 支持杭 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
摩擦杭 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | − | |||||
施工条件 | 水上施工 | 水深5m未満 | × | △ | × | ○ | △ | × | |||
水深5m以上 | × | △ | × | △ | × | × | |||||
作業空間が狭い | △ | △ | △ | △ | △ | ○ | |||||
斜杭の施工 | × | △ | △ | × | × | × | |||||
有毒ガスの影響 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
周辺環境 | 振動・騒音対策 | ○ | ○ | △ | ○ | ○ | ○ | ||||
隣接構造物に対する影響 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | △ |
○ : 適合性が高い △ : 適合性がある × : 適合性が低い | |
※参考文献 : 社団法人日本道路協会発行「杭基礎設計便覧 平成18年度改訂版」 |
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杭工法担当 : 宗形、[工事統括本部]渡邉 まで
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